2020 Tour de Taiwan 第5ステージ


[上:レース中盤に差し掛かるタイミングでできた逃げに鈴木譲選手が入る]
[下:大集団ゴールスプリントを制したヤンが今大会3勝目となるステージ優勝を飾った]
©︎Satoru Kato
3月1日(日)〜5日(木)の5日間にわたり、UCI-2.1のステージレース「ツール・ド・台湾」が開催されました。
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このレースに、宇都宮ブリッツェンから以下の5名がエントリー。
増田成幸
鈴木譲
鈴木龍
西村大輝
中村魁斗
3月5日(木)に、最終ステージとなる第5ステージが行われました。
UCI-2.1のステージレース「ツール・ド・台湾」の最終ステージとなる第5ステージが高雄愛河二二八和平紀念公園をスタート・フィニッシュ地点とする132.87km(パレード区間含む)で開催され、大集団でのゴールスプリント勝負を制したエレベート-ウェビプレックス・プロサイクリングのエリック・ヤンが今大会3勝目となるステージ優勝を飾りました。
この結果、最終成績は最も名誉ある個人総合時間をニコラス・ホワイト(チーム・ブリッジレーン)、個人総合ポイント賞をエリック・ヤン(エレベート-ウェビプレックス・プロサイクリング)、個人総合山岳賞をマーカス・カリー(チーム・サプラ・サイクリング)、ベストアジアンライダーをフェン・チュン・カイ(チャイニーズタイペイ・サイクリングチーム)がそれぞれ獲得。チーム総合時間はメミル・プロサイクリングが制して、5日間にわたって繰り広げられた戦いの幕を閉じました。
宇都宮ブリッツェンは、増田選手のボーナスタイム獲得による個人総合ジャンプアップを目指して序盤から積極的にレースを展開しましたが、増田選手がボーナスタイムを獲得することはできず。逃げ集団に入った鈴木譲が中間スプリントポイントでボーナスタイムを獲得して順位を上げる結果に。最後のゴールスプリントに挑んだ鈴木龍選手は17位という結果でした。
宇都宮ブリッツェンの最終成績は、個人総合時間で鈴木譲選手が11位にジャンプアップしUCIポイントを15ポイント獲得。また、鈴木龍選手が16位、増田選手が24位でUCIポイントをそれぞれ3ポイント獲得しています。チーム総合時間は8位でした。
ついに最終ステージを迎えた今年のツール・ド・台湾。
第4ステージ終了時点の各種リザルトを見てみると、個人総合では1位のCAVANAGH選手(セントジョージ)と2位のWHITE選手(ブリッジレーン)とのタイム差はわずか2秒。3位が11秒差、4位から6位が13秒差と僅差の争い。17位から39位までが22秒差で同タイムと、少しの動きで順位が大きく変動する可能性がある状況。
また、個人総合ポイント賞も1位と2位の選手がわずか2ポイント差と、最終ステージとなる今ステージも中間スプリントポイントとボーナスタイムをめぐる激しい争いが繰り広げられることは必至と言えます。
そんな最終ステージのコースは、台湾第2の経済文化の拠点として知られる高雄市の二二八和平紀念公園をスタート・フィニッシュ地点とする132.87km(パレード区間含む)。中盤に細かいアップダウン区間はあるものの基本的に平坦なレイアウトで、中間スプリントポイントが44.89km、71.93km、93.2kmの3カ所、78.96km地点に3級山岳がひとつ設定されています。
第4ステージ終了時点で、鈴木龍選手がトップと21秒差の個人総合15位、22秒差で増田選手が25位、鈴木譲選手が26位、西村選手が29位につける宇都宮ブリッツェン。最終ステージも、増田選手がボーナスタイムを獲得してひとつでも個人総合の順位を上げてレースを終えることが最大の目標。個人総合上位にスプリント力に優れる選手がそろう中で、どれだけチームとしてまとまって目標達成に向けて動けるかがカギになります。
高雄愛河二二八和平紀念公園をパレードスタートしたレースは、正式スタートが切られると早速、予想通りの激しいアタック合戦に。宇都宮ブリッツェンも全選手が積極的に争いに絡んでいく中、鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)が2名の逃げ集団を形成する展開になります。
するとすかさず、メイン集団からは追撃のアタックがあり、10名の選手が2名の逃げに合流し逃げ集団は12名に。さらにここから鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)を含む3名の選手が抜け出し、3名の逃げ集団、9名の追走集団、そしてメイン集団という展開になります。
鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
SCHLTZ(メミル)
CULEY(サプラ)
↓
追走9名
↓
メイン集団
その後、追走集団は思惑が噛み合わずに追走を続ける選手と集団に戻る選手とに分裂。最終的に6名の選手が追走を続ける状況になります。
鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 総合26位 +22s
SCHLTZ(メミル) 総合68位 +14m07s
CULEY(サプラ) 総合10位 +19s
↓
FERNANDEZ CRUZ(NIPPO) 総合8位 +18s
武山(UKYO) 総合44位 +1m33s
AZMAN、MOHD ZARIFF(サプラ) 総合30位 +22s、総合78位 +30m26s
NOHALES NIETO(SSOIS) 総合58位 +9m05s
MAIKIN(カンボジア) 総合20位+22s
↓
メイン集団
そして迎えた、2回目の中間スプリントポイントを鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)は2番手で通過。ボーナスタイムを2秒獲得し、暫定でトップと20秒差とします。
この頃になると、メイン集団も逃げ集団吸収のためにペースアップを開始。3級山岳を越える頃には追走集団を吸収して逃げ集団とのタイム差を縮めていきます。
残り30kmを切ろうかという段階になると、逃げ集団からは鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)がすべてを出し切る前にメイン集団に戻ることを選択。最終局面で増田選手のためにもう一仕事するために備える状況になります。
その後、2名になった逃げ集団とメイン集団とのタイム差は着実に縮まっていき、残り2kmを切ったところでメイン集団がしっかりと逃げ集団を吸収。集団はひとつになって大集団ゴールスプリント勝負を迎えることになります。
各チームのエーススプリンターによる最後の見せ場となったゴールスプリント勝負を制したのはYOUNG選手(エレベート-ウェビプレックス)。今大会3勝目となるステージ優勝で大会を締めくくりました。
宇都宮ブリッツェンは、五輪代表選考のために1ポイントでも多くUCIポイントが欲しい増田選手が逃げに乗ることができず、ボーナスタイム獲得による個人総合ジャンプアップを果たすことはできず。逃げ集団に入った鈴木譲選手が中間スプリントポイントでボーナスタイムを獲得して順位を上げる結果になりました。また、最後のゴールスプリントに挑んだ鈴木龍選手は17位でレースを終えました。
この結果、増田選手は個人総合24位にひとつ順位を上げたものの、獲得UCIポイントは3ポイントで変わらず。最大の目標である増田選手のUCIポイント大量獲得という視点で見れば、今回のツール・ド・台湾は目標を達成できたとは言えない結果に終わりました。
しかし、運営会社が掲げた「グローカル・ビジョン」という視点で見ると、最終ステージで逃げに乗りボーナスタイムを獲得した鈴木譲選手が個人総合11位でUCIポイントを15ポイント、同16位の鈴木龍選手がUCIポイントを3ポイント獲得。増田選手の3ポイントと合わせて21ポイント獲得できたことは、UCIアジアツアーの舞台でも十分に戦えることをしっかりと示したと言えます。
また、UCIポイント獲得とはならなかったものの、アシストに専念した西村選手も増田選手と同タイムの個人総合29位でフィニッシュしてその能力の高さを披露。メイン集団のけん引や補給運びなどのサポートが光った中村選手も、海外2レース目とは思えない適応能力の高さを見せました。彼ら新加入選手がさらにチームに溶け込み、ストロングポイントを発揮できるようになれば、チーム力はさらに向上すると感じることができたレースになりました。
チームは、この後に控える地元でのUCIレース「ツール・ド・とちぎ」に向けて体制を立て直し、引き続き増田選手の五輪出場に向けて戦っていきます。
清水監督コメント
「今日は増田選手を中心に逃げに乗って行きたかったのですが、タイミングが合わずに鈴木譲選手が行くことになりました。本来と違った形になりましたが、出来ることをトライしてくれました。最後はゴールスプリントにも挑みましたが、難しいレースになりました。最終結果は本来の目標としていたところには届きませんでしたが、毎回すべて上手くいく訳ではない部分と、力不足の部分もあり、難しいツール・ド・台湾でした。結局、第2ステージで総合上位にいた選手たちが、その後どんどん順位を落としていったので、それが今大会のコースプロフィールを物語っていると思います。増田選手に向いていないコースと展開になることは予想していましたが、エースの増田選手の成績のためにみんな頑張ってくれたことは評価できると思っています。ツール・ド・ランカウイ 、そしてツール・ド・台湾と走ることができたことは、これから始まる国内レースに向けては良い経験になり、価値のあるレースだったと思います。ツール・ド・とちぎはまだ開催の可否が心配な部分はありますが、開催されるのであればしっかり成績を出せるようにして臨みたいと考えています」
Text:Satoru Kato、Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY
Special Thanks:Porte au Village
◆リザルト
[2020 Tour de Taiwan - UCI-2.1 - 5th Stage - 128.47km - ]
1位 YOUNG Eric (エレベート-ウェビプレックス・プロサイクリング) 2h45m33s
2位 WHITE Nicholas (チーム・ブリッジレーン) st
3位 PENG Yuan Tang (チャイニーズタイペイ・サイクリングチーム) st
4位 REGUIGUI Youcef (トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム) st
5位 VOLKERS Samuel (メミル・プロサイクリング) st
6位 HILL Benjamin (チーム・ブリッジレーン) st
7位 DU PLOOY Rohan (プロタッチ) st
8位 PENALVER ANIORTE Manuel (ブルゴスBH) st
9位 SUREDA MOREY Jaume (ブルゴスBH) st
10位 PRADES Benjami (Team UKYO) st
17位 鈴木龍 (宇都宮ブリッツェン) st
22位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) st
47位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) st
48位 西村大輝 (宇都宮ブリッツェン) st
74位 中村魁斗 (宇都宮ブリッツェン) +34s
出走=83名/完走=83名
◆個人総合時間 第5ステージ終了時
1位 WHITE Nicholas (チーム・ブリッジレーン) 14h39m42s
2位 CAVANAGH Ryan (セントジョージ・コンチネンタル・サイクリングチーム) +04s
3位 CULEY Marcus (チーム・サプラ・サイクリング) +14s
4位 FENG Chun Kai (チャイニーズタイペイ・サイクリングチーム) +15s
5位 SYREDA MOREY Jaume (ブルゴスBH) +17s
6位 REGUIGUI Youcef (トレンガヌINC.TSGサイクリリングチーム) +17s
7位 中根英登 (NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス) +17s
8位 HILL Benjamin (チーム・ブリッジレーン) +21s
9位 FERNANDEZ CRUZ Delio (NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス) +22s
10位 SIMPSON George (エレベート-ウェビプレックス・プロサイクリング) +22s
11位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) +23s
16位 鈴木龍 (宇都宮ブリッツェン) +25s
24位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) +26s
29位 西村大輝 (宇都宮ブリッツェン) +26s
61位 中村魁斗 (宇都宮ブリッツェン) +11m30s
◆個人総合ポイント賞 第5ステージ終了時
1位 YOUNG Eric (エレベート-ウェビプレックス・プロサイクリング) 66P
2位 WHITE Nicolas (チーム・ブリッジレーン) 61P
3位 SUREDA MOREY Jaume (ブルゴスBH) 50P
4位 REGUIGUI Youcef (トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム) 41P
5位 PENALVER ANIORTE Manuel (ブルゴスBH) 37P
6位 VOLKERS Samuel (メミル・プロサイクリング) 24P
◆個人総合山岳賞 第5ステージ終了時
1位 CULEY Marcus (チーム・サプラ・サイクリング) 22P
2位 MAIKIN Roman (カンボジア・サイクリング・アカデミー) 22P
3位 ORAM James (ブラックスポーク・プロサイクリング・アカデミー) 18P
4位 CAVANAGH Ryan (セントジョージ・コンチネンタル・サイクリングチーム) 15P
5位 POLIVODA Oleksandr (SSOISミオギー・サイクリングチーム) 15P
6位 DUMOURIER Florian (カンボジア・サイクリング・アカデミー) 15P
◆チーム総合時間 第5ステージ終了時
1位 メミル・プロサイクリング 44h00m24s
2位 ブルゴスBH st
3位 リンコウ・アドヴァリクス・サイクリングチーム st
4位 Team UKYO st
5位 チーム・ブリッジレーン st
6位 トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム st
8位 宇都宮ブリッツェン st
※出場チーム=17チーム

[最終ステージのスタート地点に到着した選手たちがスタートの準備を進める]
©︎Satoru Kato

[スタートラインに整列した選手たちがパレードスタートの瞬間を待つ]
©︎Satoru Kato

[個人総合ジャンプアップのラストチャンスに増田選手が挑む]
©︎Satoru Kato

[序盤から逃げに乗ろうと積極的に動く増田選手だが、なかなか許してもらえず]
©︎Satoru Kato

[2名で逃げる鈴木譲選手の後方に追走集団が迫る]
©︎Satoru Kato

[メイン集団に残った増田選手を西村選手と中村選手が守る]
©︎Satoru Kato

[3名になった逃げ集団で鈴木譲選手が逃げ続ける]
©︎Satoru Kato

[穏やかに流れる日常の中をメイン集団の選手たちが通過していく]
©︎Satoru Kato

[期間中、サポート役に徹してチームに貢献した中村選手]
©︎Satoru Kato

[アシストの仕事をしっかりと果たしながら増田選手と同タイムでしっかりレースを終えた西村選手]
©︎Satoru Kato

[自身の勝利のための編成であれば、それは近いと感じさせる走りを見せた鈴木龍選手]
©︎Satoru Kato

[ケガ、自身向きではないコースと難しい状況の中、エースとしての走りは見せた増田選手]
©︎Satoru Kato

[逃げ集団から戻った鈴木譲選手が増田選手のためにもう一仕事する]
©︎Satoru Kato

[大集団スプリントに向けてチームでまとまって走る宇都宮ブリッツェンの選手たち]
©︎Satoru Kato

[ゴール後の選手からは、このチームとメンバーならばもっとやれる!という悔しさが見えた]
©︎Satoru Kato

[ランカウイから続いた海外レース連戦を終え、次はホームレースのツール・ド・とちぎを迎える]
©︎Satoru Kato
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