2018JPT第2戦 JBCF おきなわサイクルロードレースDay-2
[上:残り1周を独走で逃げ切った鈴木譲選手が2016年以来となる優勝を飾った]
[下:チーム力の高さをきっちり見せつけて開幕2連勝を達成した]
©Nobumichi KOMORI/HATRICK COMPANY
2月25日(日)に、2018年のJプロツアー第2戦となる「JBCFおきなわサイクルロードレースDay-2」が開催されました。
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このレースに、宇都宮ブリッツェンから以下の8名がエントリー。
増田成幸
鈴木譲
飯野智行
鈴木龍
馬渡伸弥
雨澤毅明
小野寺玲
岡篤志
2018年のJプロツアー第2戦となる「JBCFおきなわサイクルロードレースDay-2」が、沖縄県金武町の金武ダムと県道104号線を周回する1周4.2kmの特設周回コースで開催され、最終周回に単独で抜け出すことに成功した宇都宮ブリッツェンの鈴木譲がそのまま逃げ切り独走優勝。宇都宮ブリッツェンは沖縄県での開幕2連戦を連勝で締めくくりました!
また、ルビーレッドジャージ はチームブリヂストンサイクリングの窪木一茂に譲ったものの、チームランキングではガッチリ首位をキープしています。
前日の開幕戦に続き、沖縄県金武町の金武ダムを舞台に開催されることになった第2戦。しかし、距離は前日の50.4kmから倍の105.0kmに伸びたこともあり、前日とは異なるレース展開になることが予想されます。
開幕戦で岡選手と小野寺選手がワンツーフィニッシュを達成した宇都宮ブリッツェンも、第2戦ではその戦力の厚さを見せつけるような異なるレースプランを選択することに。スプリント力のある岡選手と鈴木龍選手を含む逃げに複数の選手が入り、さらに後方からは次々と選手がブリッジをかけて数的有利な状況を作り出して勝利を狙うプランでレースに挑みました。
ニュートラル区間を終えてリアルスタートが切られたレースは、序盤から激しいアタック合戦が繰り広げられる展開となります。
各チームともに積極的にアタックを仕掛けていく状況の中、宇都宮ブリッツェン勢は危険なアタックを見逃さずにしっかりチェック。その後もアタックは頻発するものの決定的な逃げが形成されない状態のまま周回を重ねていく展開となります。
レースも4周回目を終えようかという段階になると予報通りに雨が降り出し、5周回目にはさらに雨足が次第に強くなっていく状況に。それでも、その状況をものともしない選手たちが積極的にアタックを仕掛け合う展開が続きます。
7周回目になると、岡選手(宇都宮ブリッツェン)と増田選手(宇都宮ブリッツェン)、馬渡選手(宇都宮ブリッツェン)を含む数名の選手が抜け出す展開となりますが、ルビーレッドジャージを含む危険な逃げと判断した集団に吸収されます。
すると、雨足が少し弱まった9周回目に入るタイミングで15名程度の選手が集団から飛び出し、最終的に10名の逃げ集団が形成される展開となります。
増田、飯野(宇都宮ブリッツェン)
入部、横山(シマノレーシング)
石橋(BSサイクリング)
白川(ヴィクトワール広島)
吉田(那須ブラーゼン)
安田(シエルヴォ奈良)
ボシス(東京ヴェントス)
水野(エルドラード)
↓ 25秒
メイン集団
10名の逃げ集団は、10周回目に入るとメイン集団とのタイム差を拡大。その差は1分45秒となります。
増田、飯野(宇都宮ブリッツェン)
入部、横山(シマノレーシング)
石橋(BSサイクリング)
白川(ヴィクトワール広島)
吉田(那須ブラーゼン)
安田(シエルヴォ奈良)
ボシス(東京ヴェントス)
水野(エルドラード)
↓ 1分45秒
メイン集団
一方のメイン集団は、逃げに入部選手(シマノレーシング)と横山選手(シマノレーシング)の勝ちを狙える2名を送り込んでいるシマノレーシング勢が中心となってペースをコントロールする展開に。そのため集団のペースはガクッと落ち、11周回目の段階で2分25秒にまでタイム差が開く展開となります。
すると、逃げに2名の選手を送り込んではいるものの勝機をさらに高めたい考えの宇都宮ブリッツェンと、石橋選手(BSサイクリング)1名のみを逃げに送り込んでいるブリヂストンサイクリングの思惑が一致し、シマノレーシング勢と入れ替わるように選手を出し合って集団コントロールを開始してペースを上げ始める展開となります。
宇都宮ブリッツェンとブリヂストンサイクリングがコントロールを開始したメイン集団は一気にペースが上がり、逃げ集団とのタイム差が少しずつ縮まっていく展開に。15周回目の段階で30秒を切るところまでタイム差を縮めることに成功し、逃げ集団を吸収するのも時間の問題という状況になります。
すると、逃げ集団の中で冷静に戦況を見ていた増田選手(宇都宮ブリッツェン)がライバルチームに少しでも脚を使わせて味方に有利な状況を作り出そうと渾身のアタックを仕掛けて逃げ集団を崩壊させ、追いすがる逃げ集団の選手たちを引きちぎって単独で逃げる展開を作り出します。
増田(宇都宮ブリッツェン)
↓
崩壊した逃げ集団の選手たち
↓
メイン集団
単独で逃げる増田選手(宇都宮ブリッツェン)は6分~6分台前半のタイムを刻んで快調に周回を重ねていくのに対し、メイン集団はブリヂストンサイクリングが先頭に立ってペースを上げ、逃げ続ける増田選手(宇都宮ブリッツェン)を追いかける展開となります。
単独逃げの増田選手(宇都宮ブリッツェン)とブリヂストンサイクリングの追いかけっこはチームで追走するブリヂストンサイクリングに分があるかと思われましたが、ブリヂストンサイクリングのアシスト陣が1名、また1名と脚を使い果たしても増田選手(宇都宮ブリッツェン)を捕らえることはできず。おそらくエースを担うことになっているであろう窪木選手(ブリヂストンサイクリング)自らが集団のペースアップに加わらずを得ず、ブリヂストンサイクリングのコントロールがほぼ崩壊してしまいます。
ブリヂストンサイクリングのコントロールが崩壊したメイン集団では、続いてシマノレーシング勢が集団先頭に立ってコントロールを開始。それでも、単独で逃げ続ける増田選手(宇都宮ブリッツェン)とのタイム差は少しずつ縮まれども届かずという状態が続きます。
結局、シマノレーシングがコントロールするメイン集団が増田選手(宇都宮ブリッツェン)を捕らえたのは、レースも残り3周回となる23周回目。増田選手(宇都宮ブリッツェン)が狙っていた通りにライバルチーム勢の脚を使わせることに成功して、レースは終盤戦を迎えることになります。
増田選手(宇都宮ブリッツェン)を吸収したメイン集団では、その増田選手(宇都宮ブリッツェン)の単独逃げで脚を温存できた残る選手たちが攻撃を開始。雨澤選手(宇都宮ブリッツェン)を中心に集団にダメージを与え続ける展開となります。
残り2周回となる24周回目に入る直前になると、雨澤選手(宇都宮ブリッツェン)が再び強烈なアタックを仕掛けて単独で抜け出すと、そこに岡選手(宇都宮ブリッツェン)がブリッジをかけて合流。さらに数名の追走の選手が追いついて集団が分断されることになります。
その後、強烈な攻撃を繰り返し続けた雨澤選手(宇都宮ブリッツェン)が役目を果たして先頭からドロップしたものの、宇都宮ブリッツェンは6名の先頭集団に4名の選手を送り込むことに成功して、レースはついに最終周回を迎えることになります。
鈴木譲、鈴木龍、小野寺、岡(宇都宮ブリッツェン)
窪木(BSサイクリング)
西尾(那須ブラーゼン)
↓
集団
最終周回に入ると、先頭でペースを刻んでいた鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)の後方では若干牽制が入る状況。鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)が単独で先行する形となります。
すると、鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)に追走をかけようと考えていた窪木選手(ブリヂストンサイクリング)は、残る宇都宮ブリッツェン3選手の脚がかなり残っていることを感じ取って追走を断念。きっちり2位を確保する方向にシフトしたことで鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)のリードは決定的なものになります。
結局、残り1周回を単独で逃げ切った鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)は2位に14秒差をつけて、2016年のJプロツアーおおいたいこいの道クリテリウム以来となる優勝を飾りました!
注目の2位争いは、きっちり2位に照準を絞った窪木選手(ブリヂストンサイクリング)が死守。2戦連続となるワンツーフィニッシュは叶いませんでしたが、それでも、宇都宮ブリッツェンは沖縄県での開幕2連戦で見事に連勝を飾って開幕ダッシュを成功させました!
清水監督コメント
「今日のレースは自分たちから厳しいレースといいますか、前へ前へ行こうということで攻めのレースを選択しました。結果的に2連勝でき、力でレースの流れを取り戻すこともでき、全員がしっかりと動いて最後までしっかりと残るいいレースをできたと思います。ただ、最初の逃げに乗るべき人間が乗れなかったというように、今後に向けてはいくつか反省点もありました。それをしっかり修正できたということは評価できることですが、欲を言えば2位争いの部分で人数をそろえていただけに、貪欲に勝利を狙っていきたかったところです。今日も遠く沖縄にまで応援に来てくださった方も多く、遠いにも関わらず“ホーム”を感じながらレースを戦えましたし、選手たちもこのままシーズンを通していい走りができると思います。また、宇都宮、本州から応援してくださったファン・サポーターの皆さんもありがとうございました!いい報告ができてホッとしています。引き続き応援、よろしくお願いします!」
鈴木譲選手コメント
「2016年の大分いこいの道クリテリウム以来となる優勝でしたが、自分としては実感もなく、最後も勝利を噛みしめる余裕もなくて、取りあえずゴールに辿り着けたという感じです。今日のレースは自分たちとブリヂストンサイクリングでローテーションして、龍と篤志を逃げ集団にブリッジかけられたところが大きなポイントになったと感じています。これで一気に形成が逆転して。単独で逃げる増田選手とそれを追うシマノレーシングという形になって、完璧にウチが完全に有利になったかな、と。逃げ集団のメンバーがあんまり良くないかなと思っていたので、チーム力で形成逆転できたのが大きかったと思います。開幕2連勝は選手それぞれが冬から、愚痴を言いながらも腐らずにコツコツ練習を続けて来たことでチーム力が上がったということだと思いますし、なるべくなった結果だと思っています。ファン・サポーターの皆さんもこういうブリッツェンの姿を待ち望んでいただろうと思いますし、強いブリッツェンが帰って来ましたよと言いたいです。自分たちも腐らずにコツコツと努力を積み重ねて来ましたし、ファン・サポーターの皆さんも腐らずに応援し続けてくださったことがいいスタートにつながったと思います。今年は1年、期待してください!」
Text:Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY
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◆[リザルト ]
[第1回JBCFおきなわサイクルロードレース - JPT第2戦 - 105.0km - ]
1位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) 2h35m54s 40.40km/h
2位 窪木一茂 (チームブリヂストンサイクリング) +14s
3位 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン) +14s
4位 黒枝咲哉 (シマノレーシング) +14s
5位 鈴木龍 (宇都宮ブリッツェン) +15s
6位 岡篤志 (宇都宮ブリッツェン) +15s
7位 小山智也 (イナーメ信濃山形) +15s
8位 西尾勇人 (那須ブラーゼン) +15s
9位 小畑郁 (なるしまフレンドレーシング) +15s
10位 トム・ボシス (東京ヴェントス) +15s
11位 馬渡伸弥 (宇都宮ブリッツェン) +15s
13位 飯野智行 (宇都宮ブリッツェン) +16s
21位 雨澤毅明 (宇都宮ブリッツェン) +17s
24位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) +19s
出走=62名/完走=33名
◆2018Jプロツアー 個人ランキング
1位 窪木一茂 (チームブリヂストンサイクリング) 348P
2位 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン) 348P
3位 岡篤志 (宇都宮ブリッツェン) 312P
4位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) 258P
5位 黒枝咲哉 (シマノレーシング) 216P
6位 鈴木龍 (宇都宮ブリッツェン) 216P
◆2018Jプロツアー チームランキング
1位 宇都宮ブリッツェン 1,044P
2位 チームブリヂストンサイクリング 433P
3位 シマノレーシング 432P
4位 VITOIRE広島 252P
5位 東京ヴェントス 198P
6位 那須ブラーゼン 175P
ルビーレッドジャージ 窪木一茂 (チームブリヂストンサイクリング)
ピュアホワイトジャージ 小山智也 (イナーメ信濃山形)
[前日プロ初勝利を挙げた岡選手はじめ、選手たちが会場入りする]
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[そんな岡選手にはSWANS提供のルビーレッドカラーのサングラスが用意された]
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[雨予報の難しいコンディションでもWAKO'Sのケミカルがバイクを守ってくれる]
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[前日とは異なる距離、天候を考慮して増田選手が清水監督をプランを確認し合う]
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[スタート前に最終のプラン確認を自主的に行う選手たち]
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[ルビーレッドジャージを着用する岡選手がアナウンスされ整列する]
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[開幕2連勝に向けたレースの幕が開ける]
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[ダム湖にかかる橋を集団がハイスピードで通過していく]
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[予報通り降り出した雨の中、岡選手と増田選手がアタックを仕掛ける]
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[飯野選手と増田選手を含む10名の逃げ集団が形成される]
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[勝てるメンバーを逃げに乗せたシマノレーシングが集団をコントロール]
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[形成を逆転したい宇都宮ブリッツェンとブリヂストンサイクリングがコントロールを開始]
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[逃げ集団からアタックを仕掛けた増田選手が追いすがる選手を千切りにかかる]
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[メイン集団は変わらず宇都宮ブリッツェンとブリヂストンサイクリングが引く]
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[水を得た魚のような走りを見せる増田選手が快調に逃げ続ける]
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[残る逃げ集団の選手たちと走る飯野選手が次の展開に備える]
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[ペースを上げるメイン集団が逃げ集団とのタイム差を縮め吸収にかかる]
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[雨も上がり日も差してきた中、変わらず快調に逃げ続ける増田選手]
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[シマノレーシングがコントロールする後ろを陣取り次の展開に備える]
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[増田選手の逃げがブリヂストンサイクリングとシマノレーシングのアシストを崩壊させた]
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[増田選手が吸収された集団から雨澤選手が強烈なアタックで攻撃を仕掛ける]
©Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY [波状攻撃で4名の選手が先頭集団に入った状態でレースは最終周回へ]
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[最終周回で抜け出した鈴木譲選手が勝利を確信してジャージのスポンサーをアピールする]
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[昨シーズン、数的不利のチームをまとめ上げた功労者の鈴木譲選手が1年4カ月ぶりに勝利を挙げた]
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