JPT第7戦 JBCF 奈良クリテリウム
[上:ワンツーフィニッシュを達成した小野寺選手と大久保選手が互いの走りを讃えあう]
[下:チームの走りに支えられ、うれしいプロ初勝利を挙げた小野寺選手]
photo(C):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
6月12日(日)に、2016シーズンのJプロツアー第7戦となる「JBCF奈良クリテリウム」が開催されました。
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このレースに、宇都宮ブリッツェンから以下の8名がエントリー。
増田成幸
鈴木譲
阿部嵩之
大久保陣
飯野智行
堀孝明
雨澤毅明
小野寺玲
2016年のJプロツアー第7戦となる「JBCF奈良クリテリウム」が、奈良県大和郡山市の奈良県浄化センターに設定されたオールフラットの周回コース(1周2.8km)で開催され、宇都宮ブリッツェンがレースを終始支配する圧巻の走りを見せ、最後のゴールスプリント勝負を託された小野寺選手と大久保選手がワンツーフィニッシュを飾りました!
小野寺選手にとってはうれしいプロ初勝利。この結果、23歳以下の選手で争われるピュアホワイトジャージもキープしています。
4月24日に開催された第6戦「群馬CSCロードレースDay-2」から1カ月以上の中断期間を経ての再開となった2016年のJプロツアー。
再開戦となる第7戦の舞台となったのは、Jプロツアー初開催となった奈良県。
大和郡山市の奈良県浄化センター内に設定された1周2.8kmの特設サーキットコースはオールフラットながら、道幅が狭くなる部分やコース終盤にタイトなコーナーが続く部分などがあるテクニカルなレイアウト。集団の前方をしっかり位置取りできていなければふるい落とされてしまうコースと言えます。
午前中に3組に分かれての予選を終え、メンバー8名全員が無事に予選を突破した宇都宮ブリッツェンは、先日のツアー・オブ・ジャパン東京ステージでもチャレンジした最終局面を阿部→小野寺→大久保とつなぐゴールスプリントで勝利を狙うことを選択。
テクニカルで危険度が高いコースレイアウトを考慮して有力選手を含む小集団の逃げを先行させたうえで集団をコントロールして落ち着かせ、終盤に入ってからペースアップを開始して阿部・大久保・小野寺の3名に勝利を託すというプランで午後の決勝レースに臨みました。
レースがスタートすると、早速各チームによる逃げを狙ったアタック合戦が繰り広げられる展開となりますが、決定的な逃げは決まらない状況が続きます。
すると、3周回目に入った段階で3名の逃げが形成される展開となります。
トリビオ(マトリックス)
山下(シエルヴォ奈良)
ゲゼ(ニールプライド)
↓ 5秒
メイン集団
個人ランキングで3位につけるトリビオ選手(マトリックスパワータグ)が入ったこの逃げを、宇都宮ブリッツェンがコントロールを開始したメイン集団はプラン通りに容認。4周回目に入る頃にはタイム差は15秒程度にまで広がります。
ちょうどこの時、雨澤選手(宇都宮ブリッツェン)がチェーンが落ちるトラブルで落車。ニュートラルを適用してレースに復帰して事なきを得ます。
宇都宮ブリッツェン勢がコントロールを開始したメイン集団では、逃げにトリビオ選手(マトリックスパワータグ)を送り込んでいるマトリックスパワータグ勢が宇都宮ブリッツェン勢のコントロールを乱そうと先頭に割って入ってくるなど、激しい位置取り争いが水面下で行われる集団先頭となります。
しかし、この状況も阿部選手(宇都宮ブリッツェン)や大久保選手(宇都宮ブリッツェン)を中心に宇都宮ブリッツェン勢がしっかり対応。集団先頭をキープしてメイン集団のコントロールを続けます。
レースも折り返しを過ぎて7周回目に入る頃になると、逃げていた3名からゲゼ選手(ニールプライド南信スバル)がドロップ。逃げはトリビオ選手(マトリックスパワータグ)と山下選手(シエルヴォ奈良ミヤタメリダ)の2名となります。
トリビオ(マトリックス)
山下(シエルヴォ奈良)
↓ 13秒
メイン集団
この頃になると、メイン集団では個人・チームともにランキングトップのTeam UKYO勢が宇都宮ブリッツェンに協調して集団のペースアップに参加。特に、ツアー・オブ・ジャパンで個人総合優勝を達成したプジョル選手(Team UKYO)がその実力通りの力で集団を牽引する場面が見られるようになります。
ペースが上がったメイン集団は、9周回目に入って逃げ続けていた2名を吸収。集団はひとつになってレースは振り出しに戻ります。
ひとつになった集団では、これまでと変わらず宇都宮ブリッツェン勢が集団先頭に立ってコントロールを継続。その後ろにマトリックスパワータグやTeam UKYOなどのランキング上位勢が続く展開となります。
残り3周回となる10周回目に入ると、宇都宮ブリッツェン勢が少しずつペースアップを開始。そのペースについていけなくなった選手たちがたまらずに遅れ始めて集団はスリム化していきます。
残り2周回になっても、集団ペースアップの隊列が乱れない宇都宮ブリッツェン勢がレースを完全に支配したままレースは進んでいき、レースは最終周回を迎えることとなります。
最終周回に入ると、鈴木譲選手(宇都宮ブリッツェン)や増田選手(宇都宮ブリッツェン)らランキング上位選手もペースアップに加わり、ほぼ完璧と言える形で阿部・大久保・小野寺の3選手にバトンタッチ。
勝利を託された3名の選手は、阿部選手(宇都宮ブリッツェン)が持ち味の活かして2名の選手を最終コーナーまで牽引。最終コーナーからは小野寺選手(宇都宮ブリッツェン)が引き継ぎ、大久保選手(宇都宮ブリッツェン)を発射。
この時点で後続との差ははっきりとついており、阿部選手(宇都宮ブリッツェン)は既に勝利を確信してガッツポーズ。
ゴールスプリントを託された大久保選手(宇都宮ブリッツェン)は万全の状態でスプリントを開始しましたが、阿部選手(宇都宮ブリッツェン)が予定以上に牽引を続けたために小野寺選手(宇都宮ブリッツェン)を捲りきれず、小野寺選手(宇都宮ブリッツェン)がそのまま先頭でフィニッシュする形で、宇都宮ブリッツェンがワンツーフィニッシュを達成しました!
清水監督コメント
「今日は選手全員が完璧なレース運びでレースを仕上げてくれました!素晴らしいチームワークだったと思います。遠方にも関わらずファン・サポーターの方にも来ていただき、その前でワンツーフィニッシュをすることができて本当にうれしいです。もともと前日のミーティングの段階でもコントロールしてレースを進めようと話はしていましたが、午前の予選を走ったうえで改めてミーティングをしました。その際に、直線が長くて道幅も広い場所が何箇所かあって後ろから前に出やすいということが分かったので、集団を大人しくさせるために敢えて強い選手を逃がそう、できればマトリックスパワータグの選手がいいなという話になりました。マトリックスパワータグはスプリンターの吉田選手がいますし、レースを読む能力とテクニックに長ける土井選手もいて一番厄介な存在でしたので、マトリックスパワータグの選手が逃げに入れば落ち着いて集団コントロールできると思いましたし、有力選手でも3名程度の逃げであれば今の宇都宮ブリッツェンのチーム力であれば吸収できると判断もしました。結局、レースは我々が想定していたことがピタリとはまりましたね。途中、雨澤選手が落車に見舞われるというトラブルはありましたが無事に戻ってきてくれて、最初に雨澤選手と堀選手、続いて鈴木譲選手と増田選手がハイペースで集団を引いてくれたことで集団の人数が絞れました。その後を受けた3名の選手も、阿部選手がバースデーランらしく予定よりもひとつ多いコーナーまで引いてくれたことでワンツーフィニッシュが達成できたと感じています」
小野寺選手コメント
「今日のレースは序盤こそアタック合戦であったりとか他チームの動きもあってごちゃごちゃして、チームでまとまるまでに少し時間がかかってしまいましたが、中盤には完全に全員で前を固めてミーティング通りの動きができたと思います。最終的なゴールスプリントに向けた動きも、TOJの東京ステージで形はできていたやり方で勝ちにつなげられたので、チームとして完璧なレースができたと思います。プロ初勝利を宇都宮ブリッツェンというチームで挙げることができて、最高の気分です!宇都宮はもちろん、全国各地で応援してくださっているファン・サポーターの皆さん、今日は宇都宮ブリッツェンが最高の形で勝利を挙げることができました!すぐにツール・ド・熊野も始まりますのでまた勝利を狙っていきたいと思っていますし、シーズンを通して今後のレースも動いて、目立って、そして勝ちたいと思います!引き続き応援、よろしくお願いします!」
Text:Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY
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◆[リザルト ]
[第1回 JBCF 奈良クリテリウム - JPT第7戦 - P1決勝 33.6km - ]
1位 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン) 48m14s 41.78km/h
2位 大久保陣 (宇都宮ブリッツェン) st
3位 ホセビセンテ・トリビオ (マトリックスパワータグ) st
4位 アイラン・フェルナンデス (マトリックスパワータグ) st
5位 小橋勇利 (シマノレーシングチーム) +01s
6位 横山航太 (シマノレーシングチーム) +01s
7位 ベンジャミン・プラデス (Team UKYO) +01s
8位 ハビエル・サラダ・ペレス (VICTOIRE広島) +04s
9位 サルバドール・グアルディオラ (Team UKYO) +04s
10位 阿部嵩之 (宇都宮ブリッツェン) +04s
11位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) +10s
14位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) +17s
DNF 雨澤毅明 (宇都宮ブリッツェン)
DNF 堀孝明 (宇都宮ブリッツェン)
DNF 飯野智行 (宇都宮ブリッツェン)
出走=54名/完走=40名
◆2016Jプロツアー 個人ランキング
1位 ジョン・アベラストゥリ・イザガ (Team UKYO) 5,016P
2位 ベンジャミン・プラデス (Team UKYO) 3,176P
3位 ホセビセンテ・トリビオ (マトリックスパワータグ) 3,146P
4位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) 2,696P
5位 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン) 2,536P
6位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) 2,506P
◆2016Jプロツアー チームランキング
1位 Team UKYO 12,648P
2位 宇都宮ブリッツェン 10,598P
3位 マトリックスパワータグ 9,318P
4位 愛三工業レーシングチーム 7,378P
5位 シマノレーシングチーム 6,928P
6位 那須ブラーゼン 5,038P
ルビーレッドジャージ ジョン・アベラストゥリ・イザガ (Team UKYO)
ピュアホワイトジャージ 小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン)
[レース前夜、清水監督を中心に初開催となるレースのミーティングが行われる]
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[朝には日の光も感じられたが、少しずつ天気が崩れる予報が選手たちを悩ませる]
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[予選1組目には増田、大久保、飯野の3選手が出走]
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[TOJでの活躍の記憶も新しい増田選手が集団内で存在感を示す]
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[勝利が期待される大久保選手は余裕の予選1位通過]
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[宇都宮ブリッツェンとしては久しぶりのレースとなる雨澤選手が予選に臨む]
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[同じく予選2組に出場した鈴木譲選手はベテランの円熟味を帯びてきた走りで予選通過]
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[レースを重ねるたびにチームとプロトン内での評価を上げる堀選手は予選3組で無事に決勝進出]
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[ピュアホワイトジャージをキープする小野寺選手も難なく予選通過]
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[決勝レース前に行われたプレゼンテーションで阿部選手が観客から誕生日を祝ってもらう一幕も]
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[予選を走った感触を加味して、決勝レースへ再度ミーティングを行う]
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[33.6kmと短い分、激しい展開が予想される決勝レースがスタート]
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[チームプラン通り、阿部選手が逃げを狙う選手の選別をしながら走る]
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[この日はベテラン3選手が脇役に徹する走りが光った]
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[トリビオ選手を含む3名の逃げ集団形成される]
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[プラン通りの逃げを容認し、集団のコントロールを開始し始めるがマトリックスも応戦する]
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[チームでレースをコントロールする走りを体感しながら、その走りを吸収していく小野寺選手]
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[レース中盤からは、宇都宮ブリッツェンが完全にレースを支配する展開が続く]
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[最終局面に向けてペースを上げていくブリッツェントレイン]
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[最終周回に入り、鈴木譲選手と増田選手の両ベテランがさらにペースを上げる]
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[フィニッシュの瞬間は大久保選手が優勝かと思われたが、その後、優勝は小野寺選手と判明]
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