全日本選手権 MU23
[上:レース中に瞬時に予測を立て、集団内で光る動きを見せた城田選手]
[下:ラスト1kmのアタックで勝利を掴み取った中井選手がU23チャンピオンに輝いた]
photo(C):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
6月27日(土)に、全日本自転車競技選手権大会ロード・レースMU23が開催されました。
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このレースに、宇都宮ブリッツェンから以下の1名がエントリー。
城田大和
U23の日本チャンピオンを決める全日本自転車競技選手権大会ロード・レースMU23が、関東地方で初開催となる那須町・那須塩原市の公道を使った1周16kmのサーキットコースで開催され、最終周回の最終局面で単独で抜け出した京都産業大学の中井路雅が優勝を飾りました。
宇都宮ブリッツェンは、唯一の出場となった城田選手が大学生勢の厳しいマークに合いながらも集団内でチャンスを探り続けましたが、最後のゴールスプリントには絡めず。48位でレースを終えています。
年に一度のビッグレースとして、すべての選手が照準を合わせてきていると言っても過言ではない全日本選手権。MU23カテゴリーは、学連、クラブチーム、プロチームの選手が混在するなか、毎年、人数に優る学連所属の選手たちが主役となることがここ数年は続いています。
宇都宮ブリッツェンで唯一の出場となった城田選手は、集団の意思が揃わずに後半にかけて追い上げが叶わなかった昨年の教訓を生かし、積極的に逃げ集団に入って先待ちの展開に持ち込み、最後の勝負どころに有利な状態で挑むということを念頭にレースに臨みました。
レースはスタートからアタックの応酬が繰り返されるものの決定的な逃げは決まらず、一つの集団のまま幕を開けます。同時に、スリッピーな下り区間を筆頭に幾つかの落車も発生。1周回目を終える頃には1/3程度の選手が削られる状況となります。
その後も積極的なアタック合戦が繰り広げられる展開の中、城田選手(宇都宮ブリッツェン)も紺野選手(イナーメ信濃山形)らJプロツアーを共に走る選手たちと連携して逃げようとアタックを試みますが、動きを警戒する大学チーム勢のチェックにあい潰されてしまいます。
しばらく混沌とした状況が続いたプロトンから、3周回目に入る頃になるとまず1名の選手が飛び出し、その動きに2名の選手が続いて3名の選手が20秒ほどのリードを奪う展開となります。
松本(鹿屋体育大学)
孫崎(早稲田大学)
小山(シマノレーシング)
↓ 約20秒
メイン集団
しかし、程なくしてこの3名の逃げはメイン集団に吸収され、入れ替わるように2名の選手が集団から飛び出してリードを奪います。
科野(コラッジョ川西)
関谷(立教大学)
↓ 約15秒
メイン集団
ところが、この2名の逃げも敢えなく吸収。レースは安定しないまま進行していきます。
5周回目に入ると、山本選手(鹿屋体育大学)がアタックを仕掛けて集団から単独で飛び出し、リード奪う展開に。すると、メイン集団からは追走に出ようとする選手たちが数名飛び出し、さらにその追走も飛び出す展開となってレースが大きく動き始めます。
山本(鹿屋体育大学)
↓ 約6秒
秋田(朝日大学)
小山(シマノレーシング)
吉田(日本大学)
岡部(日本体育大学)
野本(明治大学)
渡邊(駒澤大学)
↓ 約26秒
田窪(マトリックス)
小野寺(那須ブラーゼン)
宮内(マッサ・アンデックス)
↓ 約45秒
メイン集団
その後、追走の6名は単独で逃げていた山本選手(鹿屋体育大学)をキャッチ。逆に追走の追走をしていた3名はプロトンに吸収され、6周回目を終える頃になるとレースは7名の逃げとメイン集団という展開となります。
山本(鹿屋体育大学)
秋田(朝日大学)
小山(シマノレーシング)
吉田(日本大学)
岡部(日本体育大学)
野本(明治大学)
渡邊(駒澤大学)
↓ 約1分17秒
メイン集団
その後、メイン集団からは紺野選手(イナーメ信濃山形)が単独で逃げ集団へブリッジを成功させ先頭は8名となりますが、メイン集団も徐々に活性化。少しずつ逃げ集団とのタイム差を縮めていく展開となります。
8周回目に入ると、勢いを増したメイン集団が逃げる8名を吸収。レースは振り出しに戻り、再びアタックの応酬が繰り返される終盤の勝負どころを迎えることとなります。
そんなアタックの応酬からうまく単独で抜け出したのは、地元チームとして活躍が期待される小野寺選手(那須ブラーゼン)。メイン集団に1分弱のタイム差をつけたまま、最終周回へと入っていきます。
最終周回に入ると、メイン集団もさらに活性化。逃げる小野寺選手(那須ブラーゼン)を捕らえようとペースを上げます。
すると、その中から新城選手(那須ブラーゼン)と小石選手(チャンピオンシステム)が飛び出し、単独で逃げる小野寺選手(那須ブラーゼン)にジョイン。
先頭は一時3名となりますが、少しずつ小野寺選手(那須ブラーゼン)は遅れてしまいます。
新城(那須ブラーゼン)
小石(チャンピオンシステム)
↓
メイン集団
残り距離が少なくなってくると、逃げる2名を追走するメイン集団はさらにペースアップ。逆に、逃げる2名からは新城選手(那須ブラーゼン)が遅れ、先頭は小石選手(チャンピオンシステム)単独となります。
何とか逃げ切りを図りたかった小石選手(チャンピオンシステム)でしたが、決死の走りも空しく、残り1kmを過ぎたところでメイン集団に吸収されてしまいます。
すると、そのカウンターで中井選手(京都産業大学)がアタック。追いついたメイン集団の選手たちは誰もその動きに反応できず先行を許してしまいます。
結局、共に追いついたメイン集団の選手たちを見事に出し抜いた中井選手(京都産業大学)がそのまま優勝を飾り、今年のMU23の全日本チャンピオンに輝きました。
宇都宮ブリッツェンの城田選手は、最終盤まで先頭集団に残りながらゴールスプリントに向けて脚もきっちり残す走りを見せていましたが、単独で抜け出した中井選手(京都産業大学)には届かず。2位争いのゴールスプリントでも遅れをとってしまい48位でレースを終えています。
清水監督コメント
「今日のレースは一番やり辛いというか、嫌な展開になってしまったな、と言う印象です。持っている脚がずば抜けていればもちろんいい勝負を展開できるとは思いますが、勝負どころを決めきれないコースレイアウトも影響して決め手を欠くレースになってしまったと感じています。その中で、城田選手も前半からうまく動きながらコースとメンバーを把握した上で、ゴールスプリントになるだろうとしっかり自分で判断して後半は脚を貯め、予想通りの展開となったのですが、やはり前半での動き方、160kmの長丁場レース、そして雨と体力を消耗するレースの中で今一歩及ばなかったな、という印象です。城田選手自身はもちろん私も全日本選手権での優勝、上位進出を狙ってきて、城田選手も調子良く臨めていたのですごく残念です。城田選手にとってはこのレースでシーズン前半は一区切りとなりますが、後半に向けて目標を切り替えて、アンダーはもう1年ありますが、彼自身は既に3年目ということも踏まえて目標をしっかりと見極めて、次の目標に向かってもらえるようにしたいと思います。今日行われたカテゴリーのほとんどがゴールスプリントだったことを考えると、明日のエリートでは、改めて集団待機のメンバーが必要かもしれないなと感じています。ただ同時に、エリートはよりチーム同士のぶつかり合いという色も濃いので、勝負どころでの逃げが決まる逃げ切りの可能性も大いにあるので、そのふたつのパターンにしっかり対応できるようにしないといけないと感じました。宇都宮ブリッツェンとしてはその2パターンに対応できる選手がそろっていると思いますので、あとは実際のレース中に選手たちにも判断してもらいながらレースを進めたいと思っています。今日は悪天候にも関わらず沢山のファン・サポーターの皆さんに声援を送っていただき、城田選手もレース後に言っていましたが、本当に励みになりました。明日も皆さんの声援にお応えできるように頑張りますので、引き続き熱い応援をよろしくお願いします!」
Text:Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY
◆[リザルト ]
[全日本自転車競技選手権大会ロード・レース - MU23 - 160km - ]
1位 中井路雅 (京都産業大学) 3h55m40s 40.73km/h
2位 黒枝咲哉 (鹿屋体育大学) +4s
3位 岡本隼 (和歌山県) +4s
4位 相本祥源政 (法政大学) +4s
5位 間瀬勇毅 (京都産業大学) +4s
6位 松本祐典 (明治大学) +4s
7位 柳瀬慶明 (Coraggio Kawanishi Cycling Team) +4s
8位 草場啓吾 (日本大学) +4s
9位 秋田拓磨 (朝日大学) +5s
10位 片桐善也 (日本大学) +5s
48位 城田大和 (宇都宮ブリッツェン) +25s
出走=148名/完走=65名
[ビッグレースをより厳しくさせる雨が降りしきるバッドコンディション]
photo(C):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
[一人きりの厳しい戦いに向け、念入りにウォーミングアップを続ける城田選手]
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[ローリングスタートを集団先頭の好位置でこなす]
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[普段のJプロツアーとは異なるリズムのレースにもしっかり対応していく]
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[レースは終始、雨が降ったり止んだりを繰り返す厳しいコンディションが続いた]
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[大学生たちからの厳しいマークをかいくぐってアタックを仕掛けるタイミングを探す]
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[中盤にできた8人の逃げ集団がブリッツェンのぼりで埋め尽くされたアップダウン区間をクリアしていく]
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[ゴールスプリントが濃厚になってきた終盤、集団内でしっかりと脚を溜めて勝負に備える]
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[望む通りの形でレースが終えられず、悔しさを爆発させる]
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[悔しさを噛み殺しながらクールダウン。来年への勝負はここから始まる…]
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