ツール・ド・熊野 第2ステージ
[第2集団のゴールスプリントで10位に入った鈴木譲選手は、個人総合時間でも8位に順位を上げた]
[有力選手3名の上りゴールスプリントを制したプラデスが、リーダージャージも手に入れた]
photo(C):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
5月28日(木)〜31日(日)の4日間に渡り、UCI-2.2のステージレース「ツール・ド・熊野」が開催されています。
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このレースに、宇都宮ブリッツェンから以下の6名がエントリー。
鈴木真理
増田成幸
鈴木譲
大久保陣
青柳憲輝
城田大和
UCI-2.2のステージレース「ツール・ド・熊野」の第2ステージが、国内有数の厳しい山岳コースとして知られる熊野山岳コースで開催され、3名に絞られたゴールスプリント勝負をマトリックスパワータグのベンジャミン・プラデスが制しました。
この結果、個人総合時間でもベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)が首位に立ち、名誉あるリーダージャージを獲得しています。
宇都宮ブリッツェン勢は終盤にできた4名の先頭集団を、増田選手と鈴木譲選手が第2集団で追走し続けましたが届かず。第2集団内でのゴールスプリントで鈴木譲選手が10位でフィニッシュ。個人総合時間で8位に順位を上げています。
個人総合時間を争う上で、最も重要なステージとなる第2ステージ。
宇都宮ブリッツェンは今レースで個人総合時間の上位を狙える増田選手と鈴木譲選手を勝負要因に据え、必ずと言っていい程できる逃げ集団には鈴木真理選手が入って先待ち、上りに強い城田選手が終盤の勝負どころまで増田選手と鈴木譲選手をサポート、終盤の勝負どころからは状況に応じて増田選手と鈴木譲選手のどちらかが勝利を狙うというプランで難関ステージに臨みました。
パレードスタートを終えてアクチュアルスタートが切られたレースは、各チームによる激しいアタック合戦で幕を開けます。
すると、10kmを過ぎた段階で4名の選手がメイン集団から飛び出して逃げ集団を形成。宇都宮ブリッツェンは当初のプラン通り鈴木真理選手を送り込むことに成功します。
鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)含む逃げ4名
↓ 約1分
メイン集団
レースはこの状況のまま1度目の丸山千枚田を通過し、この後はいよいよ、今ステージ最難関の上りである札立峠を迎えることになります。
その頃になると、メイン集団の選手もいい位置で札立峠に入ろうとペースアップし、逃げていた4名の選手を吸収して札立峠へと入っていきます。
札立峠に入ると、登坂力に秀でた選手たち20名ほどが集団前方を陣取る形となり、宇都宮ブリッツェンはその中に増田選手と鈴木譲選手が入り、有力選手たちの動きに目を光らせる形となります。
すると、KOMまで1kmほどの段階で山岳賞ジャージをキープしたい中根選手(愛三工業レーシング)が仕掛け、その動きにプラデス選手(マトリックス)とモニエ選手(ブリヂストンアンカー)が反応して3名が抜け出してKOMを通過します。
先頭の3名はそのまま札立峠の下りをクリアし、後ろの集団とのタイム差を20秒程度にまで広げます。
すると、そのタイミングで後方の集団からゴロドニチェフ選手(RTSサンティック)が単独でブリッジをかけて前を行く3名に合流、先頭は4名となります。
4名になった先頭集団は協調体制がとれ、ローテーションを繰り返しながら快調にレースを進めていきます。
中根(愛三工業レーシング)
モニエ(ブリヂストンアンカー)
プラデス(マトリックス)
ゴロドニチェフ(RTSサンティック)
↓ 約50秒
第2集団
↓
第3集団
一方、増田選手と鈴木譲選手を含む後方集団は、先を行くメンバーが強力なことを警戒して追走のペースを上げようと試みますが、先頭に選手を送り込んでいるチームの選手が多いこともあり、なかなか協調体制がとれない状況が続きます。
それでも、追いつけば鈴木譲選手でのスプリント勝負で分があると判断した増田選手は、同じく先頭に選手を送り込めていないアヴァンティレーシングの選手に協力を仰いで追走を継続。最後はほぼ1人で集団を引く展開となりながらも追走を続けます。
しかし、強力な選手4名がそろい、きれいにローテーションする先頭集団を捕らえるには、1人では荷が重すぎ、勝負は勇気を持って飛び出した4名の選手に絞られることとなります。
フィニッシュ地点に姿を現した先頭集団は、中根選手(愛三工業レーシング)が少し遅れ、三つ巴の状態。互いに牽制をかけ合いながらのスプリント勝負となりましたが、TOJの南信州ステージでも勝利を飾っているプラデス選手(マトリックス)が見事に制しステージ優勝を飾り、リーダージャージの獲得にも成功しました。
宇都宮ブリッツェンは、第2集団で増田選手のアシストを受けた鈴木譲選手が10名ほどのゴールスプリントに臨み、10位でフィニッシュ。個人総合時間でもUCIポイント圏内の8位に順位を上げ、明日の最終ステージを迎えることになります。
清水監督コメント
「今日のレースは勝負どころで増田選手と鈴木譲選手の2名が残ってくれていい形で進めることができたのですが、それ以上に他チームが人数を残して我々を上回るレースをしてきたという印象です。逃げ切った選手たちは誰もが強い選手でしたが、レース勘の部分で我々より優れていたのかな、と。彼らが最初に先行したのは山岳ポイント手前でタイム差もそれほどなく、また、彼ら自身も逃げる気持ちもなかったと思うのですが、RTSサンティックのゴロドニチェフ選手が単独で追いついたことでレースの流れが大きく変わり、一気に先頭がペースアップする展開となりました。その段階で後ろの集団を引かなければいけない立場となったのは、我々とアヴァンティレーシング、そして単独でしたがホストチームであるキナンサイクリングのクロフォード選手だけという状況となってしまいました。複数人いるチームが我々とアヴァンティレーシングだけだったので協力して追いかけることになりましたが、それでも4対4のイーブンの状況で、さらに先行しているチームのブロックなどもあり、差を詰めるには至りませんでした。やはり、ゴロドニチェフ選手がブリッジをかけた段階でどちらか1人でも付いていけていれば、増田選手でも鈴木譲選手でも勝負になったでしょうし、最後のレース勘という部分は、今後さらに養っていかなければいけない部分だと感じました。ただ、増田選手は最後まで集団を引き倒して、1人になってからも先頭とのタイム差をキープしていたというのは、結果には現れない強さを存分に見せてくれた走りだったと感じています。今日の結果で鈴木譲選手が個人総合8位となり、前後の選手ともタイム差がほぼない状態なので、ボーナスタイムを狙うなど出来ることはあると思っていますので、明日の最終ステージもしっかり走りたいと思います」
Text:Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY
◆[リザルト ]
[Tour de KUMANO UCI-2.2 - 第2ステージ 熊野山岳 - 119.2km - ]
1位 ベンジャミン・プラデス (マトリックスパワータグ) 2h46m20s 42.9km/h
2位 イリヤ・ゴロドニチェフ (RTSサンティックレーシングチーム) st
3位 ダミアン・モニエ (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) st
4位 中根英登 (愛三工業レーシングチーム) +20s
5位 西薗良太 (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +1m05s
6位 ホセヴィセンテ・トリビオ (マトリックスパワータグ) +1m05s
7位 ジャイ・クロフォード (キナンサイクリングチーム) +1m05s
8位 初山翔 (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +1m05s
9位 平塚吉光 (愛三工業レーシングチーム) +1m05s
10位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) +1m05s
15位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) +1m47s
31位 城田大和 (宇都宮ブリッツェン) +7m12s
57位 青柳憲輝 (宇都宮ブリッツェン) +9m04s
58位 鈴木真理 (宇都宮ブリッツェン) +9m33s
70位 大久保陣 (宇都宮ブリッツェン) +14m21s
出走=100名/完走=85名
個人総合時間 第2ステージ終了時
1位 ベンジャミン・プラデス (マトリックスパワータグ) 5h22m53s 43.4km/h
2位 イリヤ・ゴロドニチェフ (RTSサンティックレーシングチーム) +8s
3位 ダミアン・モニエ (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +10s
4位 中根英登 (愛三工業レーシングチーム) +31s
5位 ホセヴィセンテ・トリビオ (マトリックスパワータグ) +1m16s
6位 ジャイ・クロフォード (キナンサイクリングチーム) +1m17s
7位 初山翔 (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +1m18s
8位 鈴木譲 (宇都宮ブリッツェン) +1m18s
9位 平塚吉光 (愛三工業レーシングチーム) +1m18s
10位 西薗良太 (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +1m18s
15位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) +2m01s
30位 城田大和 (宇都宮ブリッツェン) +7m25s
55位 青柳憲輝 (宇都宮ブリッツェン) +9m15s
57位 鈴木真理 (宇都宮ブリッツェン) +11m55s
65位 大久保陣 (宇都宮ブリッツェン) +14m31s
個人総合ポイント 第2ステージ終了時
1位 ニール・ヴァンデルプローグ (アヴァンティレーシングチーム) 35P
2位 ベンジャミン・プラデス (マトリックスパワータグ) 30P
3位 ティノ・ソメル (RTSサンティックレーシングチーム) 23P
個人総合山岳 第2ステージ終了時
1位 中根英登 (愛三工業レーシングチーム) 18P
2位 ベンジャミン・プラデス (マトリックスパワータグ) 14P
3位 ダミアン・モニエ (ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 8P
チーム総合 第2ステージ終了時
1位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 16h11m28s
2位 愛三工業レーシングチーム +17s
3位 チーム右京 +4m51s
5位 宇都宮ブリッツェン +7m49s
※出場チーム=20チーム
第3ステージ 各賞ジャージ着用者
リーダー・ジャージ(個人総合) ベンジャミン・プラデス (マトリックスパワータグ)
ポイント・ジャージ(ポイント賞) ニール・ヴァンデルプローグ (アヴァンティレーシングチーム)
KOM・ジャージ(山岳賞) 中根英登 (愛三工業レーシングチーム)
U23・ジャージ(新人賞) アイマン・カヤディ (ペガサスコンチネンタルサイクリングチーム)
[過酷なレイアウトの難コースに立ち向かう選手にとって、グリコのワンセコンドは強い味方だ]
photo(C):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
[初のステージレース帯同となる田村メカが、滞りなくバイクの準備を進める]
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[最難関ステージを前に、あらゆる可能性を想定する清水監督]
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[2年前に悔しさを味わったステージを迎え、雪辱を期してサインをする城田選手]
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[熊野倶楽部をパレードスタートしていく選手たち]
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[プラン通り逃げに乗り、先待ちの体制を作った鈴木真理選手が千枚田を上っていく]
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[夏を思わせる日差しが降り注ぐ丸山千枚田を、プロトンが上っていく]
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[メイン集団前方を陣取り、千枚田の上りをクリアしていく選手たち]
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[増田選手と鈴木譲選手が、国際レースの舞台でも存在感を放つ走りを見せる]
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[風光明媚な千枚田を色とりどりのチームカーが上っていくのも、このステージの名物]
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[チームオーダー通りの逃げを決めた鈴木真理選手が千枚田の下りに差しかかる]
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[アヴァンティの監督に“強かった”と言わしめた増田選手と鈴木譲選手のコンビ]
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[第2集団のゴールスプリントでもがき続ける鈴木譲選手]
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[他チームの協調を得られない中、最後は1人になりながらも第2集団を引き続けた増田選手]
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[惜しくも第2集団から離脱してしまったが、次につながる走りを見せた城田選手]
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[上りも平坦もそつなくこなす力強い走りが戻ってきた青柳選手]
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[プラン通りに序盤のレースを作った鈴木真理選手も無事にフィニッシュを迎える]
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[厳しい山岳コースを走り切り、再び明日のスプリントに挑む大久保選手]
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[クールダウンを終えた選手たちは、休む間もなく次のステージへと向かう]
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