

[上:ラスト2周からシマノ勢を振り切って驚異的な追走劇を開始する増田選手]
[下:一時は鈴木謙選手に離されたガロファロが最後に追い上げて歓喜の勝利を挙げた]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
9/25(日)に、Jプロツアー第14戦の「JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が開催されました。
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このレースに、宇都宮ブリッツェンから以下の7名がエントリー。
柿沼章
廣瀬佳正
中村誠
増田成幸
初山翔
小坂光
若杉厚仁
※参加選手=97名
2011年Jプロツアー第14戦の「JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が高い難易度を誇る修善寺の日本CSC8kmサーキットコースで開催され、序盤から先頭集団に位置し続けたヴィンチェンツォ・ガロファロ(マトリックス)がラスト周回の攻防で粘りをみせて、一度は離された鈴木譲選手(シマノ)をラスト200mでかわし、2011年JBCFロードチャンピオンのタイトルをマトリックスチームにもたらしました。
宇都宮ブリッツェン勢は、増田選手のルビーレッドジャージを守る戦略を中心に序盤から全員が積極的に仕掛けて有利な展開を手に入れましたが、レース中盤に鈴木譲選手(シマノ)とガロファロ(マトリックス)の先行を許してしまったあとは完全に後手にまわってしまい万事休すかと思われましたが、ラスト2周からの増田選手(宇都宮ブリッツェン)の強烈なアタックによりこれまで攻略できなかった畑中選手(シマノ)と西園選手(シマノ)を置き去りにして、最後は3分前を先行していた先頭の二人をほぼ吸収する位置まで上がって3位でのフィニッシュを果たしています。
JBCFロードシリーズで最高ランクのAAAを誇る「ロードチャンピオンシップ」は文字通おりの頂上決戦であり、次戦最終ラウンドとなる「JBCF輪島ロード」を待たずに年間チャンピオンが決まる可能性のある重要なレース。
シマノの高いチーム力を攻略するためには、レース前半から増田選手以外の宇都宮ブリッツェンの選手たちが少しでも多く先行する状況を作りだす必要があり、各選手たちがリスク覚悟でスタート直後から積極的に攻撃を仕掛けていきました。
活発なアタック合戦の末に2周目には11名の先頭集団が形成されます。
鈴木譲・西園(シマノ2名)
柿沼・中村・初山(宇都宮ブリッツェン3名)
普久原(ブリヂストン1名)
ガロファロ・山下(マトリックス2名)
中野(オーベスト1名)
池部(ブリヂストンエスポワール1名)
高岡(イナーメ1名)
宇都宮ブリッツェン勢は、作戦通り最多の3名の選手を先頭グループに送り込んで中盤以降にアタックするであろう増田選手(宇都宮ブリッツェン)を前で待つ形を作り出します。
一方、メイン集団は先頭集団にメンバーを送り込めなかったアイサン、ナルシマ、そして普久原選手を送り込んでいるものの状況が悪いと判断したブリヂストン勢が中心となって追走を開始。
快調に周回を重ねる先頭11名の逃げを容認せずに1分以内の差で距離を重ねていきました。
しばらくは先頭11名vs追撃のメイン集団という状況が続きましたが、5周目に先頭集団内でアタックがかかり先頭集団の数は7名に絞られます。
鈴木譲・西園(シマノ2名)
中村・初山(宇都宮ブリッツェン2名)
ガロファロ・山下(マトリックス2名)
普久原(ブリヂストン1名)
これに対して追撃を続けるメイン集団の数も20名ほどまでに絞られて早くもサバイバルレースの展開となっていきました。
レースが動いたのは8周目、しばらく50秒ほどの差で追走を続けていたメイン集団から増田選手(宇都宮ブリッツェン)がアタックを仕掛けるとすかさず畑中選手(シマノ)が反応して間もなく先頭の7名を視界に捉えます。
しかし、増田選手(宇都宮ブリッツェン)と畑中選手(シマノ)が追いつく寸前に先頭の7名から鈴木譲選手(シマノ)とガロファロ(マトリックス)がキレのあるアタックで新たな攻撃を開始しました。
ここまで順調にレースを進めてきた宇都宮ブリッツェン勢でしたが、この2名の強烈なアタックで一気に後手にまわる展開に陥ってしまいます。
先頭は2名
鈴木譲(シマノ)
ガロファロ(マトリックス)
追走は40秒差で7名
畑中・西園(シマノ2名)
中村・増田・初山(宇都宮ブリッツェン3名)
普久原(ブリヂストン1名)
山下(マトリックス1名)
追走集団にいるシマノ(西園選手)&マトリックス(山下選手)勢は当然抑えにまわるため、中村選手(宇都宮ブリッツェン)と初山選手(宇都宮ブリッツェン)が増田選手(宇都宮ブリッツェン)のために犠牲になって先頭2名を追わなくてはいけない状況となります。
しかし先頭2名のペースは速く、その差は縮まるどころか徐々に開いていってしまい、最大で3分30秒ほどのタイム差となってしまいました。
残りの距離と状況を考えると先頭の鈴木譲選手(シマノ)とガロファロ(マトリックス)の優勝争いはほぼ間違いないものとなり、中村選手(宇都宮ブリッツェン)と初山選手(宇都宮ブリッツェン)が力尽きて遅れたあとに再編成されたメイングループはもはや3位争いの集団と目されてしまいます。
先頭2名を3分差で追う追走の9名
鈴木真理・西園・畑中(シマノ3名)
増田(宇都宮ブリッツェン1名)
狩野・普久原(ブリヂストン2名)
山下・ヴィズィアック(マトリックス2名)
岩島(ナルシマ1名)
残り2周となったところでメイン集団から増田選手(宇都宮ブリッツェン)がアタックを開始。
すぐに畑中選手(シマノ)と西園選手(シマノ)がチェックに入りますが、増田選手(宇都宮ブリッツェン)は強い気持ちを持って攻撃を継続。
8kmサーキット内の激坂区間でこれまで攻略できなかったシマノの二人を置き去りにして単独での追走体制に入りました。
この動きでアタック前には3分あった差が僅か1周で1分にまで縮まります。
一方先頭でも動きがあり、鈴木譲選手(シマノ)が攻撃を開始してガロファロ(マトリックス)を引き離すことに成功。
残り5kmの地点では以下の様な状況となります。
鈴木譲(シマノ)
↓15秒
ガロファロ(マトリックス)
↓20秒
増田(宇都宮ブリッツェン)
↓15秒
畑中(シマノ)
強烈なスピードで追い上げる増田選手(宇都宮ブリッツェン)は、ラスト1kmでなんとガロファロ(マトリックス)を捉え、そのままガロファロ(マトリックス)を従えて15秒前を行く先頭の鈴木譲選手(シマノ)に迫ります。
しかし、ゴールまでの距離が足らず、最後の直線で増田選手(宇都宮ブリッツェン)の追撃をうまく利用したガロファロ(マトリックス)がキレのあるスパートをみせ、鈴木譲選手(シマノ)をラスト200mでかわして完走17名のサバイバルレースを見事制しました。
増田選手(宇都宮ブリッツェン)は3位でのゴールとなり、ライバルの畑中選手(シマノ)も4位でフィニッシュしたので年間ランキングのポイント差は変わらず僅差のままとなっています。
しかし、リザルト以上に会場を沸かせた増田選手の走りは非常に素晴らしく、ルビーレッドジャージを着続けている選手としての実力を、多くのギャラリーへ存分にアピールしたのは間違いありません。
栗村監督コメント
「前夜のミーティングではこのレースでルビーレッドジャージを決めてしまおうと話しあって攻撃的な気持ちで挑んだJBCFロードシリーズ最高峰の戦い。しかしレースは甘くはなく、終盤に突入したところで一時敗戦色が漂う厳しい展開となってしまいました。そんな状況下でみせた増田選手のアタックは、全身に鳥肌が立つほどの強烈かつ美しいものだったと言えます。リザルト的には3位であり、チャンピオン争いに決着をつけることもできませんでしたが、今日のレースはそれ以上の価値がありました。このレースの結果、増田選手はジェイコヘラルドサンツアーではなく、Jプロツアー最終戦となるJBCF輪島ロードに中村選手、小坂選手、堀選手とともに挑むことになります。シリーズチャンピオンまであと一歩のところまできました。最終戦とジェイコヘラルドサンツアーが重なってしまったことは我々にとってかなり悩ましいことではありますが、気持ちを切り替えて両方のレースをポジティブな気持ちで戦いたいと思います。本日もたくさんのご声援ありがとうございました。」
シクロワイアードの記事は[こちら]
◆[リザルト]
[JBCF経済産業大臣旗ロードCS - 静岡県日本CSC8kmコース - JPT第14戦 - 128km]
1位 GAROFALO Vincenzo(マトリックス) 3h51m34s 33.16km/h
2位 鈴木譲(シマノ) +05s
3位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +08s
4位 畑中勇介(シマノ) +58s
5位 山下貴宏(マトリックス) +3m02s
6位 鈴木真理(シマノ) +3m02s
7位 WIESIAK Mariusz(マトリックス) +3m03s
8位 西薗良太(シマノ) +3m04s
9位 普久原奨(ブリヂストン) +3m18s
10位 岩島啓太(なるしまフレンド) +4m45s
15位 初山翔(宇都宮ブリッツェン) +11m03s
16位 中村誠(宇都宮ブリッツェン) +13m23s
DNF 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)
DNF 柿沼章(宇都宮ブリッツェン)
DNF 小坂光(宇都宮ブリッツェン)
DNF 若杉厚仁(宇都宮ブリッツェン)
出走97名/完走17名
Jプロツアー個人ランキング
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)10000P
2位 畑中勇介(シマノ)9825P
3位 鈴木譲(シマノ)7000P
Jプロツアーチームランキング
1位 シマノ 26675P
2位 宇都宮ブリッツェン 24228P
3位 マトリックス 12751P

[スバルレガシィで会場入りする宇都宮ブリッツェンの選手たち]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

[Jプロツアーリーダーの増田選手が使用するKUOTAのフラッグシップモデル“KOM”]
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[午前中に開催されたE1クラスタでは堀選手が優勝を飾りE3、E2、E1の同一年制覇を達成した]
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[会場入りしてすぐにウォーミングアップの準備を行う中村選手]
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[自らのペースでスタートの準備を進める増田選手]
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[若手ながら今年の宇都宮ブリッツェンを影で支え続ける初山選手]
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[仕事とレースの両立に苦しむ小坂選手]
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[各選手たちはレース前にスタートオイルを脚に塗るこむ]
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[出走サインを行う増田選手]
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[集中した表情をみせる若杉選手]
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[年間タイトル争いの大一番を前に頭の中で戦略を練る柿沼選手]
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[スタートを待つ中村選手と初山選手]
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[僅か75ポイントの差でチャンピオン争いを繰り広げる畑中選手と増田選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

[11時50分に97名の選手たちが一斉にスタート]
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[1周目のアタックに中村選手が反応する]
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[2周目に決まった11名の先頭集団に柿沼・中村・初山の3選手が入る]
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[メイン集団内でレース展開を見守る廣瀬選手]
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[動けばマークされる存在の増田選手は後半に向けて戦況を見守る]
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[先頭集団内で増田選手を待つ柿沼選手]
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[作戦通りにまずは前のグループに入って距離を重ねる中村選手]
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[メイン集団内で増田選手を守る若杉選手]
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[5周目に先頭集団の数は7名に絞られ中村&初山選手が残る]
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[セカンドグループで増田選手と合流した柿沼選手がペースを作っていく]
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[レース中盤にメイン集団から遅れた小坂選手]
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[第3グループで周回を重ねる廣瀬選手]
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[8周目には先頭7名からガロファロと鈴木譲選手が飛び出して差を広げていく]
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[後手にまわった宇都宮ブリッツェンは初山&中村選手が増田選手のために先頭の2名を追う]
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[チームメイトに守られながら勝負の時を待つ増田選手]
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[シマノ&マトリックス勢の抑えに対抗する初山選手]
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[レース状況を確認しながら追走を続ける初山選手]
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[追走を試みるものの状況を打破できない宇都宮ブリッツェン勢]
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[窮地に立たされた増田選手だがその目は死んでいない]
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[増田選手のために力を使い果たした中村&小坂選手がメイン集団から遅れる]
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[畑中選手にしっかりとマークされる増田選手]
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[この日3回目のアタックでシマノ勢を粉砕した増田選手が3分前を行く2名を追う]
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[誰もが驚く快走で先頭の2名を視界に捉えた増田選手]
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[ラストラップで一時ガロファロを捉えた増田選手だったがガロファロが最後に巻き返して勝利を掴んだ]
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[会場を大いに沸かせる驚異的な走りを魅せた増田選手が3位でゴール]
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[団体総合のためにボロボロになりながらも最後まで走り抜いた初山選手が15位でゴール]
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[全てを使い果たした中村選手がゴールを求めて最後の坂を上る]
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[ドリンクや補給食を受けつけなくなるほど消耗した中村選手が16位で完走を果たした]
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[ここ数年勝利から遠ざかっていたマトリックス勢が北海道に続いて大きなタイトルを手に入れる]
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[2011年のJBCFロードチャンピオンに輝いたヴィンチェンツォ・ガロファロ]
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[3位に入った増田選手と4位の畑中選手]
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[経済産業大臣旗団体総合はマトリックスが獲得]
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[中村・増田・初山の3選手が団体総合3位で表彰台に上がる]
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[増田選手がルビーレッドジャージを守り最終戦の輪島ロードへ向かう]
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