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◆リザルト
[KINAN AACA CUP 2020 第10戦 1-1カテゴリー]
1位 山本哲央 (チームさわこ)
2 位 寺田吉騎 (磐田北OB)
3 位 川崎嘉久 (Nerebani)
4 位 森崎英登 (Team ORCA)
5 位 椿大志 (KINAN Cycling Team)
東海地区のロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」の2020年第10戦が、岐阜県海津市・国営木曽三川公園 長良川サービスセンター内特設コースにて開催。最上位クラスの1-1カテゴリーは14人の逃げ切りとなり、山本哲央(チームさわこ)がスプリントを制してシリーズ2勝目を挙げました。
宇都宮ブリッツェンは、大久保陣と小嶋渓円が中盤以降先頭グループでレースを展開。逃げ切りを決めたものの、最終コーナーで発生したクラッシュ回避を最優先。優勝争いのスプリントには加われずも、無事にフィニッシュラインを通過しています。
KINAN AACA CUPは、東海地区のレースレベル向上と自転車競技の普及を目的に行われているシリーズ戦。主会場である長良川のほか、岐阜県・愛知県をメインに転戦し、月1回のペースでレースが開催されています。近年は東海地区に限らず、全国各地から選手が参戦。また、選手各々がレーススキルやレベルを客観視し、そのうえで出場クラスを選べることもあり、4つあるロードレースのカテゴリーはいずれも毎回大熱戦に。最上位の1-1カテゴリーには、国内トップチームがエントリーすることもあり、ハイレベルなレースが展開されています。
2020年の公式戦はすでに閉幕していますが、新型コロナウイルスの影響でイレギュラーなシーズンだったこともあり、モチベーションの高い選手たちが今回も多数スタートラインへ。宇都宮ブリッツェンからの3人のほか、シリーズホストを務めるキナンサイクリングチームからは6選手、その他有力選手も含めて約60人がレースに臨みました。
3.5kmの周回コースを30周・105km、オールフラットなレイアウトのコースで争われた戦いは、2周目に2選手がリードを開始。これはしばらくして集団にとらえられたものの、プロトンを活性化させるには十分な動きに。8周目には5人が先行し、そこへ小嶋選手がジョイン。ただ、これもメイン集団に封じられ、小嶋選手らは引き戻されてしまいます。
このレースの勝負にも関係する大きなアクションが起きたのは12周目。11人が飛び出した中に、大久保選手と小嶋選手が入り、そのまま逃げの態勢を築きます。メイン集団に対して1分近い差となったところで、後続では追走ムードが高まり、やがて4人ずつの追走パックが2つ形成。そのうち、第1追走グループが先頭を走る選手たちへの合流に成功します。この間、先頭グループから遅れる選手が出たこともあり、入れ替わりによって14人が先行。結果的に、このメンバーが最後まで逃げ続けることとなりました。
先頭グループ14選手
大久保陣、小嶋渓円(宇都宮ブリッツェン)
山本哲央(チームさわこ)
寺田吉騎(磐田北OB)
川崎嘉久、古閑祥三(Nerebani)
岡本隼(愛三工業レーシング)
塚本一樹(Yamanakako Cycling Team)
小山智也(Hincapie LEOMO p/b BMC)
水野貴行(稲城フィッツ)
吉田圭吾(京都産業大学)
森崎英登(Team ORCA)
椿大志、新城雄大(KINAN Cycling Team)
快調に飛ばしてきた14人ですが、残り5周を切ったあたりからは勝負を意識して牽制気味に。散発的にアタックがかかったものの、いずれも決定打に欠き、抜け出すところまでは至らず。結局、このまま最終周回へと突入し、勝負はスプリントにゆだねられることとなります。
最終局面は、2カ所の左コーナーを抜けて約200m走るとフィニッシュライン。いかにコーナーを前方でクリアするかが勝負の分かれ目となります。得意のスプリントに賭けた大久保選手が4番手でコーナーに突入するも、目の前で落車が発生。これをギリギリでかわしてクラッシュは免れたものの、最後の直線でのスプリントには参戦できず。
KINAN AACA CUPの規定で6着以下はノーリザルト扱いとなるため、大久保選手、その後ろでフィニッシュした小嶋選手、終始メイン集団で走った鈴木選手は順位なしに。それでも、フィニッシュラインを通過して完走を果たしています。
大久保選手コメント
「小嶋選手が積極的に走ってくれたおかげで、自分は最後まで脚を残して走ることができていたのですが、最終局面での落車を避けるので精いっぱいになってしまいました。スタート直後からアタックの打ち合いが続いたのですが、ちょうど自分が逃げに乗ったタイミングでメイン集団が止まって、このまま行けると手ごたえを感じました。スプリントに向けては岡本選手(愛三工業レーシング)をマークするあまり番手を下げてしまい、思うような状況を作り出せなかったのですが、終わってみれば悔しさより現役最後のロードレースを長良川のコースで走れた喜びの方が大きいですね。
今シーズン宇都宮ブリッツェンに移籍すると決めたときに、昨年所属したKINAN Cycling Teamの加藤康則ゼネラルマネージャーと石田哲也監督には“ブリッツェンのジャージでAACAに出場する”と約束をしていました。それをキャリアの最後に果たすことができたと同時に、そのことに対してチームがサポート体制を整えてくれたことには本当に感謝しています。
走り慣れた長良川のコース。フラットな分、一見簡単なように思えるのですが、レースレベルが高くなればなるほど消耗戦になりやすいですね。簡単に思えるコースほど、勝つのが難しくなりますね。」
Text:The Syunsuke FUKUMITSU